大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和42年(手ワ)78号 判決 1967年3月28日

原告 新井修

被告 八田石幸

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は、「被告は、原告に対し、金一二九、一〇〇円およびこれに対する昭和四一年一一月三〇日より支払済まで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決と仮執行の宣言を求め、その請求原因として、

「一、原告は、被告の振出した左記持参人払式小切手一通(本件小切手)の所持人である。

金額  一二九、一〇〇円

支払人 京都市中京区烏丸通錦小路上る株式会社福徳相互銀行京都支店

振出日 昭和四一年一一月二八日

振出人 京都市右京区西院上花田町四〇 八田石幸

二、原告は、昭和四一年一一月二九日、本件小切手を支払人に呈示して支払を求めたが、拒絶された。

三、原告は、本件小切手に、日附の付記のない左記支払拒絶宣言の記載をうけた。

「本小切手呈示受けましたが左記理由に依り支払出来ません

理由  預金不足

呈示日 昭和四一年一一月二九日

株式会社福徳相互銀行京都支店

支店長 江口光男」

四 よって、原告は、被告に対し、本件小切手金一二九、一〇〇円およびこれに対する昭和四一年一一月三〇日より支払済まで年六分の割合による法定利息の支払を求める。」と述べた。

被告は、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。

理由

原告主張の事実は被告において自白したものとみなす。

右事実によれば、本件小切手の支払拒絶宣言の記載には、

「本小切手呈示受けましたが左記理由に依り支払出来ません

理由  預金不足

呈示日 昭和四一年一一月二九日

株式会社福徳相互銀行京都支店

支店長 江口光男」

とあるのみで、右宣言記載の日附の附記がない。

小切手の支払拒絶による遡求の要件である拒絶宣言は、原則として呈示期間経過前に作成することを要し、例外として期間の末日に呈示があったときはこれに次ぐ第一の取引日中に作成することを要する(小切手法第四〇条)。したがって、小切手法第三九条第二号所定の日附記載の要件は、右期間遵守の証明のために規定された重要な要件であって、日附の記載を欠く支払人の宣言は、遡求の要件を充足しない、と解するのが相当である。

よって、原告の本訴請求を失当として棄却し、民事訴訟法第八九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 小西勝)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例